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スパークルのよもやま話~鉄を長持ちさせる~

皆さんこんにちは

有限会社スパークルです。

 

~鉄を長持ちさせる~

 

橋梁、鉄骨建築物、工場設備、タンク、配管、プラント、立体駐車場、港湾設備など、私たちの暮らしや産業を支える多くの構造物には鉄や鋼材が使われています。

鉄は、強度が高く、加工しやすい優れた材料です。しかし、水分や酸素、塩分などの影響を受けると、少しずつ腐食してさびが発生します。

表面に少し赤いさびが見えるだけであれば、すぐに構造物が壊れるわけではありません。しかし、腐食を長期間放置すると鋼材の厚みが減り、穴あき、強度低下、部品の固着などにつながる可能性があります⚠️

設備や構造物を安全に長く使用するために必要なのが、防錆工事です。

防錆工事では、すでに発生したさびを除去し、鋼材表面を整え、防錆塗料や保護材料を施工します。

ただ塗料を上から塗るだけでは、十分な防錆効果を得られません。表面にさび、油、塩分、古い塗膜などが残っていると、新しい塗膜が密着せず、早期に剥がれる可能性があります。

今回は、防錆工事業における基本であり、品質を大きく左右する下地処理と防錆塗装技術についてご紹介します。

鉄がさびる原因を理解する

鉄の腐食には、水分と酸素が深く関係しています。

鉄の表面へ雨水や結露水が付着し、空気中の酸素と反応することで、少しずつさびが発生します

さらに、海岸部や港湾設備では、潮風に含まれる塩分が腐食を促進させます。

融雪剤が使用される道路や橋梁、塩分を扱う工場などでも、鋼材の腐食が進みやすくなります。

化学工場や処理施設では、酸性・アルカリ性の薬品、ガス、蒸気などが鋼材へ影響する場合があります

高温になる設備では、温度変化によって塗膜が膨張・収縮し、ひび割れや剥離が起こることもあります。

防錆工事業者は、単にさびた場所を見るだけではありません。

雨水、結露、塩分、薬品、温度、摩耗など、どのような原因で腐食したのかを確認し、環境に合った施工方法を選びます

原因を理解せずに同じ塗料を塗り続けても、同じ場所から再びさびが発生する可能性があります。

施工前の現地調査

防錆工事では、施工前の現地調査が重要です。

対象となる構造物の材質、規模、さびの範囲、既存塗膜の状態、作業環境などを確認します

表面に赤さびが広がっている場所、塗膜が膨れている場所、鋼材が薄くなっている場所などを記録します。

塗膜の膨れは、内部で腐食が進んでいる兆候である場合があります。

見た目には小さな膨れでも、工具で確認すると広い範囲で塗膜が浮いていることがあります。

ボルト接合部、溶接部、鋼材の角、配管支持部、雨水がたまりやすい部分などは、特に腐食しやすい場所です。

高所、狭い設備内部、稼働中の工場などでは、作業方法や安全設備も調査します

足場が必要なのか、高所作業車が使えるのか、周辺設備を停止できるのかなどを確認し、工程を計画します。

既存塗膜の状態を確認する

防錆工事では、古い塗膜をすべて除去する場合と、健全な部分を残して補修する場合があります。

既存塗膜がしっかり密着していれば、表面を清掃・研磨し、その上から新しい塗料を重ねられることがあります。

一方で、塗膜が浮いている、割れている、下にさびが広がっている場合は、劣化部分を除去しなければなりません。

打診、スクレーパー、付着力試験などによって状態を確認します

古い塗膜の種類も重要です。

新しく使用する塗料との相性が悪いと、塗膜が縮れたり、密着不良を起こしたりする可能性があります。

塗装履歴や使用塗料が分からない場合は、試験施工を行うこともあります。

上から塗れる状態なのか、全面的に除去すべきなのかを正しく判断することが、工事費用と耐久性の両方に関わります。

油や汚れを除去する脱脂技術

鋼材表面には、機械油、グリース、排気汚れ、粉じんなどが付着している場合があります。

油分が残っている状態で塗装すると、塗料がはじかれたり、乾燥後に剥がれたりする可能性があります️

そのため、専用の洗浄剤、ウエス、高圧洗浄などを使って汚れを除去します。

見た目にはきれいでも、薄い油膜が残っていることがあります。

特に工場設備、クレーン、機械架台、配管周辺などでは、長年の油汚れが鋼材表面へ染み付いている場合があります。

一度拭くだけでは不十分なこともあるため、汚れの状態を確認しながら繰り返し清掃します。

高圧水で洗浄した場合は、鋼材表面を十分に乾燥させてから次の工程へ進みます️

水分が残っている状態で塗装すると、塗膜の膨れや密着不良につながるためです。

ケレンによってさびを除去する

さびや劣化塗膜を除去し、塗料が密着しやすい表面をつくる作業をケレンと呼びます。

ケレンには、ワイヤーブラシ、スクレーパー、電動工具、ブラストなどが使用されます

軽度のさびや部分補修では、手工具やディスクサンダーなどを使って除去することがあります。

広範囲にさびが進んでいる場合や、高い防錆性能を求める場合は、ブラスト処理を行うことがあります。

ブラスト処理では、研掃材を高速で鋼材表面へ当て、さび、古い塗膜、酸化皮膜などを除去します。

同時に、鋼材表面へ細かな凹凸をつくり、塗料の密着性を高めます✨

ただし、工具の当て方が弱ければさびが残り、強すぎれば健全な鋼材や部品を傷める可能性があります。

薄い鋼板、ボルト、配管などでは、残存厚みや形状を確認しながら慎重に作業します。

塩分を除去する技術

海岸部や港湾施設、船舶関連設備などでは、鋼材表面に塩分が付着しています

見た目にさびや汚れを除去できても、塩分が残っていると、新しい塗膜の下で腐食が再び進む可能性があります。

塩分は水分を引き寄せる性質があるため、塗膜の膨れや早期劣化の原因になります。

必要に応じて水洗いを行い、鋼材表面の塩分を除去します。

専用の測定方法を使って、残留塩分量を確認することもあります

水洗い後に再び潮風へ長時間さらされれば、塩分が付着してしまいます。

洗浄後の乾燥から下塗りまでを適切な時間内で進める工程管理が重要です。

ブラスト処理の技術

ブラスト処理は、高い防錆性能を求める工事で広く使用される下地処理方法です。

研掃材を圧縮空気などで鋼材へ吹き付け、表面のさびや塗膜を除去します️

研掃材の種類、粒の大きさ、圧力、施工距離などによって、仕上がりが変わります。

圧力が不足するとさびが残り、過度に強いと鋼材表面を必要以上に粗くしたり、薄い部材を変形させたりする可能性があります。

溶接部、ボルトまわり、鋼材の裏側などは、研掃材が当たりにくい場所です。

ノズルの角度を変え、塗り残しならぬ「処理残し」がないよう施工します。

ブラスト後の鋼材は非常にさびやすい状態です。

空気中の湿気が高いと、短時間で薄いさびが発生する場合があります。

そのため、表面処理後は速やかに清掃し、下塗りを行います⏱️

粉じんを確実に除去する

ケレンやブラストを行うと、さび、旧塗膜、研掃材などの粉じんが発生します。

粉じんが鋼材表面に残ったまま塗装すると、塗料が鋼材へ直接密着できません。

エアブロー、掃除機、ブラシ、清潔な布などを使用して除去します

ただし、圧縮空気に油や水分が含まれていると、表面を再び汚染する可能性があります。

清浄な空気を使用し、作業後に目視や手触りで確認します。

床や足場に粉じんが残っていると、風や作業者の動きによって再び塗装面へ付着します。

作業場所全体を清掃し、塗装しやすい環境を整えます。

表面粗さを管理する

ブラスト処理後の鋼材表面には、細かな凹凸が形成されます。

この凹凸によって塗料の密着性が高まりますが、粗さが大きすぎると、山の頂点部分で塗膜が薄くなる可能性があります

反対に、表面が滑らかすぎると、塗料が十分に食いつきません。

使用する塗料や膜厚に合った表面粗さへ調整することが重要です。

専用の比較板や測定器具などを使って確認する場合もあります。

ブラストを行えば必ず良い下地になるわけではなく、求められる状態へ管理することが専門技術です。

下塗り塗料を選ぶ技術

下地処理後は、鋼材へ防錆下塗りを施工します。

下塗りには、鋼材との密着性を高め、腐食を抑える役割があります️

使用環境に応じて、エポキシ系、ジンクリッチ系など、さまざまな塗料が選ばれます。

海岸部、工場内、屋外、薬品環境、高温環境などでは、求められる性能が異なります。

高性能な塗料であっても、既存塗膜や上塗り塗料との相性が悪ければ使用できません。

設計仕様、メーカー資料、既存の塗装状態などを確認し、塗装系全体として適切な材料を選びます。

部分補修では、新旧塗膜の境界部分へ段差が生じるため、周囲を研磨してなだらかに整えます。

補修部分だけが早く剥がれないよう、健全な既存塗膜まで一定範囲を処理することが重要です。

溶接部や角部への増し塗り

鋼材の角、溶接ビード、ボルトまわりなどは、塗膜が薄くなりやすい場所です。

塗料は表面張力によって鋭い角から流れやすく、広い平面と同じように塗っても十分な膜厚を確保できないことがあります。

そこで、全体塗装の前後に刷毛を使って重点的に塗料を塗り込みます️

これを増し塗りやストライプコートと呼ぶことがあります。

溶接部の凹凸、ボルトの裏側、鋼材の端部などへ丁寧に塗料を入れます。

腐食が始まりやすい部分を重点的に補強することで、防錆性能を高めます。

塗料を正確に調合する

防錆塗料には、主剤と硬化剤を混ぜて使用する二液型の製品があります。

混合比を誤ると、十分に硬化しなかったり、本来の耐久性を発揮できなかったりします

目分量で混ぜず、重量や容量を正確に計量します。

容器の底や側面に未混合部分が残らないよう、機械や棒を使って十分にかくはんします。

混合後には使用可能時間があり、時間を超えた塗料は見た目に使用できそうでも、正常な塗膜を形成できないことがあります⏰

作業面積や気温を考慮し、時間内に使い切れる量を調合します。

塗りにくくなったからといって、指定以上に溶剤を加えると膜厚や防錆性能が低下する可能性があります。

メーカーが定めた方法を守ることが大切です。

刷毛・ローラー・スプレーを使い分ける

防錆塗装では、施工場所に応じて刷毛、ローラー、スプレーを使い分けます。

刷毛は、ボルトまわり、溶接部、狭い場所へ塗料を押し込むのに適しています。

ローラーは、平らで広い面を効率よく塗装できます

スプレー塗装は、広い範囲へ均一な塗膜を形成しやすい方法です。

しかし、スプレーガンと鋼材の距離、角度、移動速度が不安定だと、塗膜厚にむらができます。

近づけすぎると塗料が垂れ、遠すぎると塗料が乾いた状態で付着し、ざらつきが生じることがあります。

複雑な鉄骨では、裏面や隅部へ塗料が届きにくいため、吹付け方向を変えながら施工します。

効率だけで方法を選ばず、塗装箇所の形状と求められる品質に合わせることが重要です。

中塗り・上塗りで塗膜を形成する

防錆塗装は、下塗りだけで完成するとは限りません。

中塗りで必要な塗膜厚を確保し、上塗りで紫外線、雨、薬品、汚れなどから塗膜全体を守ります☀️

各層には、それぞれ異なる役割があります。

一度に厚く塗ろうとすると、表面だけが先に乾き、内部に溶剤が残る可能性があります。

塗膜のしわ、膨れ、割れなどにつながるため、定められた厚みと回数を守ります。

各工程の間には、塗り重ね可能な時間があります。

早すぎると下の塗膜を傷め、遅すぎると層同士の密着が低下する場合があります。

気温や湿度によって乾燥速度が変わるため、時間だけでなく実際の塗膜状態も確認します。

気温・湿度・結露を管理する

防錆塗装の品質は、施工時の気象条件に大きく左右されます。

鋼材表面に水分や結露がある状態で塗装すると、塗料が密着せず、膨れや剥離の原因になります

気温、湿度、鋼材温度、露点などを確認し、塗装可能な環境かを判断します。

冬場は塗料の硬化が遅くなり、夏場の直射日光下では鋼材が高温になりすぎる場合があります️

風が強い屋外では、塗料が飛散したり、ほこりが塗膜へ付着したりします。

雨が予想される場合には、乾燥時間を確保できるかを考え、施工を延期する判断も必要です。

工期を優先して不適切な環境で塗ると、数か月や数年後に大きな補修が必要になる可能性があります。

塗膜厚を測定する

塗装後には、必要な塗膜厚が確保されているかを測定します

塗膜が薄すぎると、鋼材を十分に保護できません。

反対に、厚すぎると乾燥不良、割れ、剥離などの原因になることがあります。

塗膜厚計を使用し、複数の場所を測定します。

広い平面だけでなく、端部、溶接部、ボルトまわりなども確認します。

一か所だけの数値で全体を判断せず、測定結果の平均とばらつきを確認します。

膜厚が不足している場所には、必要に応じて追加塗装を行います。

見た目だけでは分からない品質を数値で管理することが、防錆工事の信頼性を高めます。

施工後の養生

塗装直後の塗膜は、完全な強度を持っていません。

作業員や資材が触れたり、雨や粉じんが付着したりすると、傷や仕上がり不良につながります。

立入禁止表示やシートなどを使用して、硬化するまで施工面を保護します

設備を早く稼働させたい場合でも、塗膜の硬化時間を守る必要があります。

配管やタンクへ液体を入れる場合には、塗料が使用条件に耐えられる状態まで硬化していることを確認します。

塗り終わった瞬間が完成ではなく、塗膜を正常に硬化させるところまでが防錆工事です。

まとめ

防錆工事業における下地処理と塗装技術は、鉄や鋼材を腐食から守り、構造物や設備の寿命を延ばすための技術です。

さびや古い塗膜、油、塩分、粉じんを除去し、塗料がしっかり密着できる表面をつくります。

その後、使用環境に合った下塗り、中塗り、上塗りを選び、混合比、塗装方法、乾燥時間、膜厚を管理します️

防錆性能は、塗料の価格や名称だけで決まるものではありません。

表面処理が不十分であれば、どれほど高性能な塗料でも長持ちしない可能性があります。

完成後には見えなくなる下地の状態を丁寧に整え、一層ずつ確実な塗膜を形成すること。

それが、防錆工事業における下地処理・防錆塗装技術の大きな価値なのです✨