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スパークルのよもやま話~“直して長持ち”~

皆さんこんにちは

有限会社スパークルの更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“直して長持ち”~

改修は症状→原因→対処の順。CUI(保温材下腐食)海塩付着ボルト・溶接部水溜まり・端部——“錆の入り口”を塞ぎ、長寿命化メニューで運用コストを下げます。ここでは部分補修の段取り/重防食仕様/金属溶射・カソード防食/点検周期とKPIを公開します。


1|劣化症状と原因のひも付け

  • 点錆・アンダーカット:端部・切欠き・エッジの膜厚不足

  • 膨れ:下地塩分・含水・下塗り相性不良

  • 全面錆:旧膜限界/素地露出

  • CUI:断熱材内の毛細水+塩分+温度サイクル

  • ガルバニック腐食:異種金属接触(Zn⇄Cu/SS 等)


2|部分補修の“勝ち筋” ️

  1. 境界づくり:健全部と劣化部を段差なめらかに(フェザーエッジ禁止)

  2. 素地出し:スポットブラスト/St3で健全母材まで

  3. 下塗り選定亜鉛リッチ or 高付着エポで電気化学的に守る

  4. ストライプ:ボルト頭・角・溶接ビードへ先行塗り

  5. 仕上げ:周辺既存色へ馴染ませ、膜厚は既存以上


3|CUI(保温材下腐食)対策

  • 抜き取り診断:高温帯・雨掛かり・低点部を優先

  • コーティング高耐熱・疎水エポ/常温金属系も検討

  • 断熱材:親水性の低いものへ更新、水抜き・通気を設ける

  • バンド・支持金具異種金属絶縁、水切り形状で滞留防止


4|海浜・重防食の“鉄板セット”

  • 前処理高圧洗浄→塩分除去→Sa2.5

  • 第1層無機ジンク/亜鉛リッチで犠牲防食

  • 中間高ビルドエポ(充填・バリア)

  • 上塗フッ素/無機有機ハイブリッド(低汚染・耐候)

  • 代替Al/Zn溶射+シーラー→上塗り
    飛沫帯・ボルト列・桁端膜厚増しを標準に。


5|ボルト・溶接部・エッジの守り方

  • ボルト頭・座・ねじ部シールプラグ+ストライプ、締結後タッチアップ

  • 溶接部:スパッタ除去→ビード両肩の面取り→下塗り厚盛り

  • エッジR付け+ストライプ×2回で端部剥離を封じる


6|金属溶射・カソード防食の使い分け ⚙️

  • 金属溶射(Zn/Al):長期無補修が求められる桁端・支承周りに

  • 犠牲陽極:タンク底板・水中/土中の付帯部

  • 外部電源法:広面積・高腐食環境で安定、定期点検が前提


7|塗替えサイクルと点検KPI ⏳

  • 外観:白亜化・退色・たれ・クラック・錆汁

  • 膜厚:基準以下の面積と位置を地図化

  • 塩分:季節変動を年2回トラッキング

  • KPI劣化面積率(%)・補修回数・年平均補修費/㎡・停止時間
    閾値超え=部分補修→帯補修→全面更新の“ルールベース”で迷いゼロ。


8|見積・仕様書での“赤ペンポイント” ️

  1. 下地処理グレード/粗さ値

  2. 層構成・総膜厚・色番

  3. ボルト・溶接部のストライプ回数

  4. CUI部のコート種別・断熱ディテール

  5. 検査項目(膜厚/付着/ホリデイ/塩分)

  6. 露点・気象・可使時間の管理方法

  7. 鉛・産廃・安全費の明記


9|改修現場チェックリスト ✅

  • ☐ 劣化マッピング・写真採番

  • ☐ 塩分・含水・付着の診断値

  • ☐ 下地処理(St/Sa)・粗さ検査

  • ☐ ストライプ箇所(ボルト/溶接/エッジ)

  • ☐ 各層WFT/DFT・重ね塗り間隔

  • ☐ CUIの抜き取り・断熱ディテール更新

  • ☐ 仕上検査・ホリデイ・是正票クローズ

  • ☐ 台帳(仕様・ロット・写真・試験値)


まとめ
“入口を塞ぐ(端部・ボルト・CUI)×重防食で包む×ルールで回す”。これが改修の最短ルートです。次の現場は劣化マップ→部分補修設計→海浜仕様の適用から始めましょう。️