
皆さんこんにちは
有限会社スパークルの更新担当の中西です。
~戦いが産業を支えてきた~
「錆び(さび)」は、金属がある限り必ず向き合う宿命のような存在です。鉄は丈夫で加工しやすく、建築・橋・プラント・船舶・車両・配管など社会のあらゆる場所で使われています。しかし、酸素と水分があれば錆は進行し、放置すると強度低下や破断、漏えい、重大事故へつながります。防錆工事業は、この“見えない劣化”を抑え、設備や構造物の寿命を延ばし、社会の安全と経済を守ってきた重要な仕事です。今回は、防錆工事業の歴史を、日本の産業発展とともに振り返りながら、現場の進化を分かりやすくお伝えします。️
目次
防錆の考え方自体は古く、金属が普及し始めた頃から「濡らさない」「空気に触れさせない」「表面を守る」という発想で工夫が行われてきました。たとえば、鉄製品に油脂を塗ったり、漆(うるし)や樹脂で覆ったり、布や革で包むなど、生活の知恵としての防錆がありました。
当時は科学的な「腐食理論」が十分ではなく、経験と職人の勘に基づく対策が中心。それでも“守るために表面処理をする”という基本は、現代の防錆工事にも通じています。✨
明治以降、日本は鉄道、港湾、造船、発電施設、橋梁などインフラ整備を急速に進めました。鉄は大量に使われ、海沿いの塩害地域や工業地帯の排気ガス環境など、腐食が進みやすい条件も増えていきます。
この頃になると、単に油を塗るだけでは追いつかず、「塗料を使った防食」や「鉛丹(えんたん)など防錆顔料を含む下塗り」の概念が広がります。材料・塗料・施工の体系化が進み、防錆工事は“専門性のある仕事”へと変化していきました。
戦後、日本は復興から高度経済成長へ突入し、プラント、石油化学、発電所、高速道路、鉄道網、巨大橋梁、港湾施設などが次々と建設されました。ここで防錆工事は一気に重要性を増します。
理由は明快です。
施設が巨大化し、止められない設備が増えた ⚙️
海岸部・工場地帯など腐食環境が過酷化した
「壊れてから直す」より「壊れる前に守る」方が経済的になった
この時代に、塗装仕様の標準化が進み、現場では「素地調整(ケレン)」「下塗り・中塗り・上塗りの多層塗装」が基本として定着していきます。防錆工事は“塗るだけ”ではなく、前処理と工程管理が品質を左右する仕事として認識されるようになりました。✅
防錆工事の品質を決める最大のポイントは、実は塗料よりも「下地づくり」です。錆や旧塗膜が残ったまま塗っても、密着せず短期間で剥がれます。
そこで普及したのが、ワイヤーブラシやディスクサンダーなどの動力工具によるケレン、そしてサンドブラスト(研掃)です。
ブラストは、鋼材表面を一気に清浄化し、適切な粗さ(アンカー・パターン)を作って塗膜を強固に密着させる方法。大型橋梁やプラント設備で採用が進み、防錆工事は“科学と施工管理が必要な専門分野”として確立していきます。
インフラが増えるにつれ、「維持管理」が大きなテーマになります。塗装を頻繁に塗り替えるのは、コストも工期もかかります。そこで注目されたのが、
溶融亜鉛めっき(ガルバナイズ)
亜鉛リッチペイント(亜鉛含有塗料)
エポキシ系・ウレタン系など耐久性の高い樹脂塗料
といった“長寿命仕様”です。
橋梁や海洋構造物、港湾設備では、塩害への対策として重防食塗装が一般化し、防錆工事は「保護」から「長期戦略」へと進化していきました。️
防錆工事は完成直後には綺麗に見えても、数年後に差が出る世界です。だからこそ、品質の“見える化”が重要になりました。
膜厚測定(乾燥膜厚)
付着力試験
塩分測定(海塩粒子の影響)
露点管理(結露による不具合防止)
こうした管理が普及し、現場は「職人技×計測×管理」の総合力で戦うようになります。施工会社も、ただ塗るのではなく仕様書・工程・検査を含めた“防食システム”として仕事を組み立てる時代へ。✅
いま日本は、橋・トンネル・港湾・プラント・水道設備など、老朽化インフラの維持更新が社会課題になっています。防錆工事は「新設を守る」だけでなく、「既設を延命する」役割が圧倒的に増えました。
特に重要なのが、
劣化診断(腐食状況の把握)
部位ごとの仕様最適化(無駄に厚く塗らない)
供用しながらの施工(止められない設備)⏱️
現場は、より難しく、より価値の高い領域へシフトしています。防錆工事業は、社会の“長寿命化”を支える欠かせない仕事として、ますます注目されています。
防錆工事業は、産業が拡大するほど必要性が増し、材料・施工・管理が高度化してきました。今日の防錆工事は、単なる塗装ではなく、腐食環境の理解、下地処理、塗料選定、工程管理、検査まで含めた“総合技術”です。